地方公務員からの転身
自然素材を使った体に優しい住宅を設計
~建築家30年の家づくり~
こちらは、社団法人あんしん解体業者認定協会が運営する
『コノイエ』サイトのインタビュー記事です
一級建築士事務所光設計は、独立後30年にもなるベテラン建築家の栗原様が代表を務めています。有害物質の含まれる新建材の使用が主流であった30年前から、自然素材を使用した家造りを時代に先行して行っており、エコハウスの先駆者のお一人とも言える栗原様。住む人の快適さや、気持ち良さにこだわっており、施工実績はもうすぐ200件に到達するそうです。
そんな栗原様の家造りへの想いや、今後の家造りへの展望を伺いました。
文系一般職の地方公務員から、建築家への転身
スタッフ
栗原様
40歳の時に独立したので、もう30年になりますね。
スタッフ
ということは今70歳ですよね?とてもお若く見えます!周りの方からよく言われませんか??
栗原様
あははは(笑)たまに言われるけど、70歳なんですよ。建築の勉強は、30歳の時に始めました。
スタッフ
なぜ30歳の時に建築の勉強を始めようと思ったんですか?
栗原様
もともとは文系の大学の出身で、埼玉県の狭山市役所で一般職の地方公務員として働いていたんですよ。市役所の仕事が17時に終わるので、早稲田大学の中にある夜間の専門学校で3年間、建築の勉強をしました。市役所では、建築の学校を出れば一般職ではなく専門職として勤められるので、そのために軽い気持ちで建築の勉強を始めたんですけどね。
スタッフ
もともとは軽い気持ちだったんですね!(笑)でも、働きながら学ばれてたなんて、凄いです!
栗原様
建築の勉強が楽しすぎて、建築を仕事にしたいという気持ちが大きくなっちゃったんですよね。それで、3年勉強した後、33歳の時に役所を辞めて、教えてくれてた先生のアトリエ事務所に飛び込みました。そこで6年か7年ほど仕込んでもらいましたね。
お客様が喜んでくれることが嬉しくて、注文住宅に特化した建築家になった
スタッフ
修行をされていたアトリエ事務所は、住宅に特化していたんですか?
栗原様
ううん。そこはね、住宅もやっていたけど、テナントビルとか事業用の大きな建物もやっていました。
スタッフ
そうだったんですね!栗原様は、現在は注文住宅に特化されていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?
栗原様
そうですね。テナントビルの場合、僕らが一生懸命設計して「良い建物が出来た!」って喜んでオーナーにお渡ししても、経済事情とかでテナントが入らないことがあるんです。そうすると、その建物は収益物件としてうまく稼働してないわけですから、いくら建物が良くてもオーナーには喜んで頂けないんですよね。
スタッフ
栗原様
そうなんです。ところが、住宅の場合はそういったことが無いんです。オーナーであるお客様のことを想って良い建物を設計すれば、お客様が喜んでくれて、そこに住んでくれる。
スタッフ
良い建物を設計することが、お客様の喜びに直結するわけですね!
栗原様
はい。その喜びを知ったから、自分は事業用の建物をやめようと思ったんです。お客様が本当に喜んでくれる建物を造る、それがお互いに素直に伝わるようなことを仕事にしようと思って、注文住宅に特化することにしました。
30年前に、自然素材を使用した昔ながらの家造りの良さに気づいた
スタッフ
自然素材を使用した家造りにこだわりあるかと思いますが、そのような家造りを始めたきっかけは何ですか?
栗原様
僕が独立した30年前は、新建材という新しい素材を使用した家造りが主流だったんです。そんな中、お客様にお寺の住職さんがいてね、新建材を使わずに、漆喰や藁を使った昔ながらの家造りをして欲しいという注文が入って、設計したことがあったんです。
スタッフ
栗原様
当時、それと並行して新建材の家造りもしていたんですけどね。点検で1、2年後に見に行くと、新建材の家の方は経年劣化して、具合の悪くなってるところがたくさんあるんです。ところが、自然素材の家の方は、数年経って見に行っても、味が出て、むしろ経年美化してるんです。依頼主の住職さんの気持ちがよく分かりましたね。
スタッフ
なるほど、自然素材の家の方は、年月が経っても“経年美化”するんですね!
栗原様
そうなんです。30年間にその違いを2種類の建物で知って、僕のやっていく方向はこっちだって思ったんです。
スタッフ
ちょうど同じタイミングで2種類の建物を比べられたのも、凄いですね!
栗原様
うん、自然素材の良さをもっと知って欲しいという想いもあって、それから自然素材を使った家造りを始めました。僕自身も田舎の農家の生まれなので、心象風景も残ってるんだと思う。
シックハウス問題の発生で、自然素材の家造りに時代の流れがやってきた
スタッフ
栗原様が自然素材の家造りを始めた30年前は新建材が主流の時代だったとおっしゃっていましたが、自然素材のニーズが高まった背景には何かあったんですか?
栗原様
シックハウスです。僕が自然素材の家造りを始めた5、6年後に、世間でシックハウス問題が騒がれるようになったんです。シックハウス問題というのは、工業製品の新建材から有害物質が出て、そこに住む人がアレルギーになってしまう問題ですね。
スタッフ
シックハウス問題、聞いたことあります。家に住んでるだけでアレルギーになるなんて、大変ですよね。
栗原様
でもね、僕のお客様にはシックハウスの人が居なかったんですよ。自然素材の家に住んでいれば、シックハウスにはならないんですよね。なって欲しくもないとも思った。そんな背景もあって、メディアの方々が取材してくれるようになりました。それで、そのことをお話ししているうちに、健康住宅というネーミングを付けてくれたんです。雑誌の健康住宅特集とかで、僕の設計した住宅を載せてくれたので、新しいお客様が増えて、事務所が軌道に乗ったんですよ(笑)
スタッフ
それじゃあ、栗原さんが元々やっていたことに、時代の流れがちょうど合わさったということですね!
栗原様
そうですね。もともと自然素材とかエコとか環境問題に関心があって住宅を造っていたんだけど、25年前そういう住宅が欲しいという人たちが僕に声をかけてくれるようになって、今に繋がってます。
スタッフ
それで言うと、自然素材を使った家造りの先駆者というか、その時代を切り開いたお一人ということですよね!
栗原様
その可能性はあるかもしれないです(笑)“呼吸する住まい”というコンセプトは30年前から掲げてるんですけど、そんな昔からこんなことを言ってるので(笑)
ずっとこの家に居たいと思って貰えるような、快適な家造り
スタッフ
栗原様
住宅は、お客様が一番大きな想いをかけて作る事業です。お客様が家に入って気持ち良くて、ずっとこの家にいたいと思える家を造りたいんです。
スタッフ
素敵ですね!そのために、何か気にされてることはありますか?
栗原様
とにかく丁寧に時間をかけているので、設計するのは年間4棟か5棟に限定しています。現場にも必ず監理に行き、しっかり設計して、しっかり監理して、良い住宅にする。そして、お客様にお引渡ししたいという想いがあるんです。ただ自然素材を使うだけじゃなくて、家にいながら緑が見えたり光がさしたり、できるだけ快適な空間にすることを心がけて設計しています。
スタッフ
素晴らしいお考えですね!栗原さんに住宅を設計して頂いたお客様は、みんな喜ばれるでしょうね!
栗原様
お客様からは、家が出来て最初に入ってもらった時に、懐かしい空気感がして、新築じゃないみたい、と言われることが多いです。
1年後に点検に行くと、家でのんびりするのが一番気持ち良くて、連休に旅行に行くことが少なくなったとおっしゃるお客様も多いんですよ。すごく嬉しいです。
住んでくれた子供が15年後に建築家を目指すと言ってくれた
スタッフ
1棟1棟の住宅に向き合い丁寧に設計されていることが印象的ですが、他に何かお客様とのエピソードはありますか?
栗原様
ありますよ。設計した家に20年くらい経ってからメンテナンスで伺うんですけど、当時小さかった子供が中学生、高校生、大学生と成長しているんですけど、その大きくなった子供達が、有難いことに「建築家を目指したい」と言ってることが度々あるんです。
スタッフ
それは凄いです!嬉しいことですよね、影響を与えているというか。
栗原様
僕の設計した家に住む子供には、遊びに来た友達から“木の家の〇〇ちゃん”っていうあだ名がつくんですって(笑)それくらい、自然素材の家は子供達にとってインパクトを与えているみたいで。
大人になった子供達に、この家が好きかと尋ねると「この家がずっと好きでした」と言ってくれる。それがとても嬉しいし、良い住宅を造ってきた甲斐があると思います。
接着剤を使わない軸組工法にこだわる
スタッフ
工法の面では接着剤を使わない軸組工法にこだわりがあるようですが、どのようなメリットがありますか?
栗原様
住宅って、ずっと住んでると増改築を考える時が必ず来るんです。20年、25年後、先々の生活が変わって住まい方が変わった時ですね。子供が家を出た後でご夫婦用の住まいに減築するとかね。昔ながらの軸組工法は、その時にレイアウトがしやすいんですよ。比較的簡単に模様替えができるんです。そういう良さがある。
スタッフ
栗原様
そうなんです。でも、最近は軸組の工務店さんが少なくなってきていますから、軸組の工務店さんとのネットワークはとても大切にしています。
いくら良い設計をしても、住宅を作る工務店さんとの繋がりがしっかりしてないと、良い住宅が完成しませんから。お客様に良い工務店さんを紹介することは常に考えています。
土地にデメリットのある人ほど建築家との家造りを考えてみて欲しい
スタッフ
これから家造りをしようとしている方へ、何かアドバイスはありますか?
栗原様
最近は土地が狭くなってきていますよね、特に東京は土地がかなり狭いです。でも、一つ知って頂きたいのが、土地が狭いからと言って、そのまま狭いと感じる家になってしまうことはないんですよ。
スタッフ
なるほど!土地が狭くて悩んでる方は多いと思います!
栗原様
あとは、狭いというだけじゃなくて、特殊な形の土地、例えば三角形の土地とかも。土地には色んなデメリットがあるけど、そんなデメリットを意識させない、むしろメリットにするような家づくりが、私に限らず設計事務所は得意ですからね。そうやって、土地にデメリットを抱えている方にこそ、建築家のアイデアを利用して欲しいと思います。
ガスと薪。2つのインフラで災害に対応した新しい家造り
スタッフ
施工実績200棟を目指して、引き続き家造りをしていく上で、トライしたいことはありますか?
栗原様
災害時など何かあった場合に備えて、2つのインフラがある家です。
例えば、お風呂はガスと薪で沸かす、水道は不通の水道管と井戸、電気は発電機と東京電力、などですね。
スタッフ
それは初めて聞きました!なぜそのような家造りを考えるようになったんですか??
栗原様
今関わっている物件で、災害時に近所の人に自宅を避難所として利用してもらいたいというお客様がいらっしゃるんです。これからの家造りは、こうやって2つのインフラを考えることが大事だなぁと思っている。
スタッフ
最近はご近所との関係が希薄になりつつあることも問題になってますが、その取り組み自体が、そういう問題の解消にもなりますよね。これからの時代に必要な家というか。
栗原様
はい。2つのインフラを用意するのはそんなに費用がかからないですし。
ちょっとした費用で、みんなが助かる仕組みを作ることはそんなに難しくないので、一緒に協力してやっていきたいと思っています。
口コミ、評判
お客様が快適で気持ちの良く暮らせることを第一に考え、1棟1棟に時間をかけて向き合ってくださる栗原さん。
口コミを拝見すると、家の中に居ながらも自然を感じられ気持ちが良いとお喜びの方がとても多く、また、細部に渡り設計に満足されており、改めて丁寧なお仕事をされていることを実感します。
自然素材を使った体に優しい住宅を設計されている栗原さん
門扉や照明、表札などでコラボさせていただき、長いお付き合いをさせていただいています。
以前東京都杉並区の住宅に門扉と玄関照明を取り付けさせて頂いた事があり、お客様が引っ越されたのちにご招待を受け、先に到着した私を家の隅々までご案内下さいました。
小さなお子への危険に対する配慮、ちょっとしたスペースに収納箇所があり、中でも奥さまが台所の引き出しまで開けて、工夫と使いやすさを『男性なのに主婦の身になって、台所を設計されているのに驚き!』と、話されておられました。
家にいることがこんなに気持ちのよいものだとは知りませんでした
中庭近くの日当たりの良い場所に祖父の部屋を配置した案に、中庭に面しているとはいえ北側の祖父の部屋に本当に光が入るかという私たちの心配に、栗原さんは冬至の日の太陽の位置と屋根の勾配の関係を図解して説明をしてくれました。その説明のとおり、完成した住まいの中庭を通して光と風があふれた気持ちの良い2世帯住宅になっています。家にいることがこんなに気持ちのよいものだとは知りませんでした。泊まりがけで出かけることも少なくなり、2世帯仲良く、快適に暮らしています。
お陰様をもちまして、我が家も築10年を迎えることができました
この間、特に不具合などは全くなく、風呂場の木の香りも心地良く、まだまだ楽しめそうです。
素晴らしい家を作って下さった皆様のことを思い返し、満10年を祝して、ささやかながらお酒をお送りいたしました。
ご笑納くだされば幸いに存じます
我々とともに、この家も少しずつ年を重ねてゆくのでしょうが、呼吸する住まいとまだまだ楽しく、有難くお付き合いできそうです。
どの季節も本当に気持ちよく暮らせることを実感しました
我が家も無事に引越し1周年を迎えることができました。四季を通じて住んでみて、どの季節も本当に気持ちよく暮らせることを実感しました。
家族がのびのびと暮らしていることのありがたさを感じております。
全体的な「気持ち良さ」もさることながら、もっとスゴイことは、1年間暮らしてみて、小さい不満がほとんど(一つも?..かもしれません)ないのです。
「あぁしておけばよかった」「こんなハズでは…」といったことが、思い当たりません。
こどもと「旅館みたいだね」と話しています
朝目覚めると天井のきれいな木目が目に入ってきて、こどもと「旅館みたいだね」と話しています。
夕方お風呂に入ると、虫の音が聞こえます。
夜には、ベランダから月がきれいに見えます。
改めて素敵な家を設計していただき、ありがとうございました。
引用:有限会社光設計 一級建築士事務所|Houzz
引用:建築主さんの声|東京都の一級建築士事務所光設計 呼吸する住まい
まとめ
栗原様がこだわるのは、自然素材を使用し、家に居るだけで気持ち良くなるような快適な住宅づくりです。
また、自然素材を使用した昔ながらの家造りは、長い年月を過ごして生活が変わった場合でも、その時の住まい方に合わせてレイアウトを変えられることも魅力の一つです。
こちらの記事が私ども光設計の家づくりについて、よくお伝えしてくださっているため、
社団法人あんしん解体業者認定協会が運営する『コノイエ』サイトのインタビュー記事より転載致しました