見直しの住居学6:子ども部屋からファミリールームへ

子ども部屋からファミリールームへ

広い子ども部屋は不要・家族で集えるくつろぎ空間のススメ

住まいを計画するとき、必ずといっていいほど子供室がほしいという要望があります。それも4畳半では狭いので、せめて最低6畳くらいはほしい。男2人、女1人なので3室は必ず計画してほしい…….。40坪程度の住まいに6畳を3室とると、収納をいれれば合計10坪。なんと4分の1が子供室ということになってしまいます。そもそも、子供室なんていらないのではないでしょうか。子供に必要なのは勉強部屋、それも勉強に集中できるように最低限の広さ、3畳~4畳もあれば十分なのではと思います。位置は、頭寒足熱を考慮するなら北側がベストです。机と本棚とベッドと洋服収納を入れたらもう満杯。勉強と寝るとき以外は使わない。そうした状況にしておけば、子供は自然に部屋を抜け出して、勉強の気分転換に家族のいる居間にやってきます。ただし、この場合の居間は目一杯ひろくて、天井が高かったり、中庭があったり、大きなテーブルがあったり、パソコンコーナーがあったりと、子供にとっても快適な空間でなければならない。家族みんなの集まる居間は少し贅沢をして、気持ちのよい楽しい空間にする。子供の勉強部屋は、勉強だけに集中できるように、最低限の広さで勉強最優先の環境にする。もちろん、テレビや電話はなしである。

約4畳の子供室。
畳の子供室。4畳



【写真左】子供室。約4畳の大きさですが、机や本棚、収納などを作りつけにしていますので、勉強部屋としては十分なスペースになっています。出窓なども計画すると小さな部屋には有効です。屋根なりの高い勾配天井にしていますので、狭さは全く感じられません。
【写真右】畳の子供室です。ちょうど4畳ですが、本棚や布団収納なども計画してあります。畳の子供室は珍しいかも知れませんが、使い方ひとつでとても楽しい部屋になり、使い勝手もいいと思います。壁についているのは扇風機です。

小さな勉強室の近くにファミリールームというスペースを計画することもあります。勉強室はそれぞれ4畳くらいのスペースしかないのだがそのかわり、廊下などにちょっと広い共有コーナーみたいな場所があります。このコーナーには作りつけの大きな机(3人くらい並んで座れるように長い)やパソコンのスペース、本棚や気持ちよく座れるゆったり椅子、テレビやインターネット用の電話コンセントなども用意します。このファミリールームを使うのは子供たちだけでなく、お父さんが書斎かわりに使う場合もあります。家族のメモを貼るボードなどもあります。こうなると、住まいの中の情報センターのようなものであり、家族の工夫しだいでいろいろな楽しみ方ができる空間になります。

小さな畳コーナーを計画して大人も子供も楽しく使えるファミリールームになっています。
最近の設計例でもいろいろな形でこのファミリールームが実現しています。ファミリールームやファミリーコーナーはこれからの住まいの楽しい選択枝になりそうな気がしています。

子ども部屋やファミリールームを取り入れた施工事例をご紹介
小さな子ども部屋
ロフトつき子ども部屋


【写真左】小さな子ども部屋。低い本棚を互い違いにして2つの子ども部屋に分けている
【写真右】天井が高く、狭くても開放感のあるロフトつき子ども部屋

勉強スペース
勉強スペース付きの間取り


勉強スペースです。子供室前の廊下のところにあります。子供たち3人のための大きな机と本棚があり、バルコニーへも出られるようになっています。子供たちの共有の勉強スペースになっていて、お姉さんが妹さんに勉強を教えてくれます。

ファミリースペース
ファミリースペース付きの間取り


ファミリースペースです。吹き抜けのリビングに面して大きな机がL字型に配置されています。お父さんの書斎も兼ねていますので、パソコンなどのLAN配線などもしてあります。本棚なども作りつけにしています。子供たちが成長するにつれて楽しい使い方を工夫できる場所になっています。

フリースペース