見直しの住居学(その4)
■ファジイな和室のすすめ
秋田HOUSE(東京都八王子市)のリビング。縁無しの半畳畳をフローリングと高さをそろえて落とし込んでいます。畳表の目を互い違いにして市松模様にしています。
現在では、和室を計画することは残念ながら少なくなってしまいましたが、和室には洋室にない使い勝手のよさがあります。ベッドを置いた洋室は寝室という用途に限られてしいますが、和室の場合は、布団を押し入れにしまい、掃除機をかければ、朝食の場や茶の間に変わり、お客様を通すこともできます。ひとつの部屋に何とおりもの使い方があるという点で、和室には洋室にない「融通性」があります。
昔からの日本の和室の使い勝手のよさをもう一度見直す必要がありそうです。和室といっても、決まりきった化粧柱に鴨居、長押、竿縁天井といった和室本来の意匠にこだわることはありません。現代的に割り切って、畳敷きのファジーなスペースを計画すると考えれば、使い方も住まい方ももっと楽しくなるはずです。
たとえば、畳のリビングもあります。リビングといえばフローリングと決まっているわけではありません。最近の若い建築主で畳の好きな人がいて、リビングダイニングを12畳の畳敷きにしました。大きな掘りこたつを真ん中に設置して、冬も夏もこの掘りこたつを中心にして生活しています。
お客様が何人きても、座布団さえ用意すればそれで済みます。さらに畳に座って目線が低く暮らせるので、12畳の部屋がそれ以上に広く感じるメリットもあります。天井も実際よりも高く見えます。床暖房をしなくても暖かく過ごせます。畳のリビングはこれからの小さな住まいにはおすすめだと思います。
若い人の住まいでは縁のない畳もよく使います。リビングのコーナーに畳のスペースを計画するような場合は縁なしの半畳サイズの畳を使うと和風になりすぎず、洋風のリビングに感じよく馴染むようです。4畳半で9枚の畳になるので、コストはちょっと上がりますが畳表の目を互い違いになるように敷き込むと市松模様のとてもおしゃれな畳スペースになります。
寝室を和室にするケースも最近は多くなっています。特に若い建築主の場合に多いのは、布団の上げ下ろしが苦にならない年齢なのと、普段から上げ下ろしで体を使っていれば、腰の運動にもなって高齢化対策にもなるとの考えもあるようです。こういう場合は和室というよりも、フローリングの替わりに畳を敷いた部屋という感じが強く、布団をしまう押入は計画しますが化粧柱や鴨居はつくりません。昼間はお花の稽古に使ったり、冬はこたつを出してお客様をもてなしたり、子供たちが友達を連れて来たときは臨時の遊び部屋になったりしています。
畳敷きのファジーな部屋、これからの住まいには魅力ある空間だと思います。
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“見直しの住居学(その4)” への4件のフィードバック
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最近のコメント
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(kokyuBloguserより[12/12])
木下さん、コメントをありがとうございます。木下さんのお住まいも同じように工夫が満載のお住まいになっていて渡辺篤史さんの建物探訪の放映のときにとても評判がよかったです。
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(木下尚久より[12/11])
「建もの探訪」拝見しました。先生の分かりやすい説明で、住みやすい工夫が色々されていることにあらためて感銘を受けました。見学会にお伺いした時のことを懐かしく思い出しました。
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(kokyuBloguserより[10/31])
S.Oさん、近況のコメントをありがとうございます。散歩のときなどときどき前の道を通るようにしています。2階のリビングや畳コーナーで読書をされている姿が目に浮かびます。外壁の色がとてもいい色なので、同じ色の吹き付けを選んだ建築主さんも多いです。
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(S.Oより[10/31])
ご無沙汰しております。我が家が目に入り、驚きました。築13年になりますが、土台がしっかりしているので、先日の地震でも何一つ倒れることもありませんでした。建具も狂うことなく、スムーズです。いつまでも心地よい家で読書するのが、いちばんの楽しみです。図書館から借りて、上橋菜穂子さんの本を再、再読しています。
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(J-WAVEからスマートスピーカー「Google Home Mini」いただきました | 木の家・自然素材の住宅設計なら東京都の光設計より[06/10])
[…] TEAM J-WAVEに登録して、3月23日には生放送でSTEP ONEに小泉と二人で出演をしました。コロナの前だったので森本晋太郎さんとデイレクターさんのお二人が事務所に来てくれて光設計からの5 […]
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(kokyuBloguserより[03/24])
金子さん、コメントありがとうございます。お久しぶりです。J-WAVE聴いてもらえてよかったです。生放送でしたので緊張しながらお話ししました。お元気でお過ごしください。
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(金子敏恵より[03/24])
ご無沙汰致しております。早稲田の専門のマッハです。(毎年お年賀状ありがとうございます)
今朝、目白まで通勤の為の戸田公園駅までのたつた15分から20分ですがJ-WAVEからミニ避難所住宅…の興味深いおはなしが…
なんと‼️くりはらさーん‼️
Twitterで直ぐに画像で確認!感動致しました。懐かしいお姿拝見致しました!偶然の出来事ですがどうしてもご挨拶させていただきたくて書き込みお許しくださいませ
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たたみ=和室、という短絡した考え方ではなく、「草の床」と捉えると空間の発想が自由に拡がりますね。
東京町家では、限られた空間を生活シーンに合わせて自由に使っていた先人達の知恵を、読み解き活かしています。
たたみ文化は、私たち民族が培ってきた宝物です。
東京町家さん、いつもコメントをありがとうございます。畳の暮らし、私も大切にしてゆきたいと思います。私は畳に寝転がると、土手の草の上に寝転がっていた子供の頃を草の匂いとともによく思い出します。
毎日楽しみに拝見させていただいております。
よくこれだけの内容を毎日更新されていますね。
ブログのタイトルどおり毎日がセミナーでたいへん勉強になっています。
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